AIゲーム制作研究室
AIは「ゲーム哲学」だけでゲームを設計できるのか
AIゲーム制作研究室 研究実験 No.001
AIは「ゲーム哲学」だけでゲームを設計できるのか
AIゲーム制作研究室では、「AI時代のゲーム制作はどのように変わるのか」を実際にゲームを制作しながら検証しています。
今回の研究実験では、ゲーム仕様書やキャラクター設定、システム設計などを一切与えず、AIにたった一つだけ文章を与えてみました。
「おむすび山とは、森からいただいた恵みを森へ返し、森とともに豊かになるゲームである。」
ゲームジャンルも決めません。
ゲームルールも決めません。
プレイヤーも決めません。
この一文だけをAIに与えたとき、AIはどこまでゲームを設計できるのでしょうか。
AIが最初に導き出したこと
まずAIは、このゲームの主人公を考えました。
その結果、驚くべき結論にたどり着きました。
主人公はプレイヤーではなく、「森」そのものである。
プレイヤーは森を支配する存在でも、征服する存在でもありません。
森の循環を支え、恵みを未来へつないでいく「森の仲間」として位置付けられました。
勝利条件も変わる
一般的なゲームでは、
- 敵を倒す
- ゴールへ到達する
- レベルを上げる
- お金を集める
などが目的になります。
しかし、このゲーム哲学からAIが導き出した勝利条件はまったく違いました。
「森が豊かになること」
これがゲーム全体の目的となったのです。
スコアではなく循環
さらにAIは、ゲーム全体の流れを自然に導き出しました。
森
↓
恵み(どんぐり)
↓
プレイヤー
↓
奉納
↓
森が豊かになる
↓
新たな恵み
この循環そのものが、おむすび山というゲームの中心になるという結論に至りました。
つまり、どんぐりキャッチは単なるミニゲームではありません。
森の循環へ参加する入口だったのです。
報酬も変わる
AIは、「どんぐりを集める理由」についても考えました。
お金ではありません。
スコアでもありません。
森が豊かになるからです。
つまり、プレイヤーへの最大の報酬は数字ではなく、
森の景色が変わること。
木が育ち、
花が咲き、
鳥が集まり、
仲間たちが喜ぶ。
世界そのものがプレイヤーへのご褒美になるという考え方が導き出されました。
今回の研究で分かったこと
この実験で最も驚いたことは、
たった一文の「ゲーム哲学」から、
- 主人公
- プレイヤーの役割
- 勝利条件
- ゲームループ
- 報酬
- 世界構造
まで、一貫したゲームデザインが自然に導かれたことです。
これは、人間が細かな仕様を一つひとつ決めた結果ではありません。
AIがゲーム哲学を出発点として、自ら設計した結果です。
AIゲーム制作研究室の最初の仮説
今回の実験から、私たちは一つの仮説を立てました。
AIネイティブなゲーム制作では、「仕様書」よりも先に「ゲーム哲学(Game Philosophy)」が存在する。
人間がAIへ最初に伝えるべきものは、細かな制作手順ではなく、
「このゲームは、何のために存在するのか。」
という根本的な思想なのではないでしょうか。
AIは、その哲学をもとに、世界、ルール、報酬、ゲーム体験を一貫して設計できる可能性があります。
研究室より
この研究は、AIにゲームを作らせることが目的ではありません。
AIによってゲーム制作そのものがどのように変わっていくのかを、実際にゲームを制作しながら検証していくことが目的です。
今回の研究実験は、その第一歩でした。
これからもAIゲーム制作研究室では、実証と検証を積み重ねながら、AI時代の新しいゲーム制作方法論を探究していきます。
