AIゲーム開発研究室
研究実験 No.003 第1章 研究背景 p02
AIゲーム開発研究室
研究実験 No.003
第1章 研究背景
1.1 研究の背景
近年、生成AIの急速な発展により、ゲーム開発の手法は大きな転換期を迎えている。
従来、ゲーム開発では企画立案、世界観設定、ゲームシステム設計、シナリオ制作、アート制作、プログラミングなど、多くの工程を人間が分担して進めてきた。しかし、大規模言語モデル(Large Language Models:LLM)や画像生成AIの登場により、これらの工程の一部、あるいは複数をAIが支援・生成できるようになってきた。
現在では、AIを利用してゲームのアイデアを発想したり、キャラクター設定やシナリオを作成したりする事例も増えつつある。一方で、その多くは「AIを制作ツールとして利用する」ことを目的としており、AIがどのような思考過程でゲームを設計しているのかという点については十分に検討されていない。
ゲーム開発において最も重要な工程の一つは、「どのようなゲームを作るのか」を決定するゲームコンセプトの設計である。ゲームコンセプトは、その後のゲームジャンル、ゲームシステム、世界観、プレイヤー体験など、多くの設計要素の方向性を決定する出発点となる。
しかし、生成AIにゲームコンセプトを入力した場合、AIがその文章のどの部分を重視し、どのような解釈を経てゲームデザインを構築しているのかについては、現時点では明確な知見が少ない。
AI時代のゲーム開発を体系化するためには、AIに「ゲームを作らせる」ことだけではなく、AIがゲームコンセプトをどのように理解し、それを設計へ反映しているのかを明らかにする必要がある。
本研究は、この課題に着目したものである。
1.2 研究の目的
本研究の目的は、ゲームコンセプトを構成する単語を変更した際に、AIが生成するゲームデザインがどのように変化するかを比較・分析し、その設計傾向を明らかにすることである。
具体的には、一つの基準コンセプトを設定し、その文章に含まれる単語を一語ずつ変更した複数の比較実験を行う。
各実験では、変更した単語以外の条件をできる限り維持し、AIが生成したゲームデザインを比較することで、
- ゲームジャンル
- 世界観
- プレイヤー行動
- ゲームループ
- 報酬システム
- 成長システム
- エンディング
など、ゲームデザインを構成する要素がどのように変化するかを観察する。
さらに、それらの比較結果をもとに、ゲームコンセプトを構成する言葉がゲームデザインに果たす役割を整理し、AI時代におけるゲームコンセプト設計の基本モデルを提案することを目的とする。
1.3 本研究の位置付け
本研究は、「AIにゲームを作らせる方法」を検討する研究ではない。
また、「より面白いゲームを設計する方法」を提案する研究でもない。
本研究の目的は、AIがゲームコンセプトをどのように解釈し、その解釈をゲームデザインへどのように反映しているかを観察・分析することである。
したがって、本研究では生成されたゲームデザインの優劣や完成度を評価対象とはせず、コンセプトの変化に対するAIの設計傾向を分析対象とする。
また、本研究はAIゲーム開発研究室における基礎研究として位置付けられる。
将来的には、本研究で得られた知見をもとに、
- AI時代のゲーム企画手法
- AIゲームデザイン手法
- AIゲーム素材制作手法
- AIゲーム開発標準
など、AIゲーム開発全体の方法論を体系化することを目指している。
本研究は、その第一段階として、ゲーム開発の出発点であるゲームコンセプトに着目し、その設計情報としての役割を明らかにしようとするものである。
第1章 まとめ
本章では、本研究の背景、目的、および位置付けについて述べた。
生成AIの普及により、ゲーム開発におけるAI活用は急速に進展している。一方で、AIがゲームコンセプトをどのように解釈し、それをゲームデザインへ反映しているのかについては、十分な検討が行われていない。
本研究では、この課題に対して、一語のみを変更したゲームコンセプトを用いる比較実験を実施し、その結果を分析することで、AIによるゲームコンセプト解釈の特徴を明らかにすることを目的とする。
さらに、その分析結果を基に、AI時代のゲーム企画・ゲームデザインに活用可能な**「AIゲームコンセプト設計モデル Ver.1.0」**を提案する。
