AIゲーム開発研究室
研究実験 No.003 第2章 研究方法 p03
AIゲーム開発研究室
研究実験 No.003
第2章 研究方法
2.1 研究課題
本研究では、次の研究課題(Research Question)を設定した。
ゲームコンセプトを構成する単語を一語だけ変更した場合、AIが生成するゲームデザインはどのように変化するのか。
この課題を設定した理由は、ゲームコンセプトがゲーム開発の出発点となるにもかかわらず、AIがその文章をどのように解釈し、ゲームデザインへ反映しているかについて、体系的な分析がほとんど行われていないためである。
本研究では、ゲームコンセプトを構成する単語を一語ずつ変更する比較実験を行うことで、AIがどのような意味の違いを読み取り、ゲームデザインへ反映しているかを観察する。
2.2 研究方法
本研究では、比較実験法を採用した。
まず、基準となるゲームコンセプトを設定する。
「おむすび山とは、森からいただいた恵みを森へ返し、森とともに豊かになるゲームである。」
この一文を基準コンセプト(実験A)とし、その後、文章中の単語を一語のみ変更した六つの比較コンセプト(実験B〜G)を作成した。
変更対象は、ゲームコンセプトを構成する主要な意味要素から選定した。
各実験では、変更した単語以外の文章は維持し、同一のAIに対してゲーム設計を依頼した。
生成されたゲームデザインを比較することで、変更した単語がゲームデザイン全体へ与える影響を分析した。
2.3 比較実験の構成
本研究では、七つの比較実験を実施した。
| 実験 | 変更内容 | 比較対象 |
|---|---|---|
| A | 基準コンセプト | 基準モデル |
| B | 「返す」→「分け合う」 | 価値観 |
| C | 「森」→「世界」 | 世界のスケール |
| D | 「豊かになる」→「幸せになる」 | ゲーム目的 |
| E | 「いただいた」→「集める」 | プレイヤー行動 |
| F | 「豊かになる」→「森を守る」 | 設計思想 |
| G | 「豊かになる」→「森の秘密を知る」 | 探究目的 |
これら七つの実験を比較することで、ゲームコンセプトを構成する単語がゲームデザインへ与える影響を整理した。
2.4 評価方法
各実験で生成されたゲームデザインについて、以下の七項目を比較対象とした。
- ゲームジャンル
- 世界観
- プレイヤーの目的
- 基本ゲームループ
- プレイヤーの主な行動
- 報酬・成長システム
- エンディング
これらの項目は、ゲームデザインを構成する代表的な要素として設定した。
本研究では、各項目の優劣を評価するのではなく、コンセプト変更に伴う設計の変化を質的に比較・分析した。
2.5 実験条件
比較実験では、可能な限り条件を統一するため、次の条件を設定した。
- 同一の生成AIを使用すること。
- 基準コンセプト以外の条件は変更しないこと。
- 各実験では変更する単語を一語に限定すること。
- ゲーム設計を依頼する際の指示内容を統一すること。
- AIが自然に生成した内容をそのまま観察対象とし、人為的な修正は行わないこと。
これらの条件により、ゲームデザインの違いを、主としてコンセプト変更の影響として比較できるよう配慮した。
2.6 本研究の範囲と限界
本研究は、ゲームコンセプトを構成する単語とゲームデザインとの関係を観察することを目的としている。
そのため、生成されたゲームデザインが実際に開発され、プレイされた際の面白さや完成度については評価対象としていない。
また、本研究は一つの基準コンセプトを用いた比較実験であり、すべてのゲームジャンルやすべての生成AIに対して同様の結果が得られることを示すものではない。
本研究で得られた知見は、AIによるゲームコンセプト解釈の一事例として位置付けられる。
今後、異なるジャンルや異なるAIモデルを対象とした比較研究を積み重ねることで、本研究で提案する設計モデルの妥当性をさらに検証していく必要がある。
第2章 まとめ
本章では、本研究で採用した比較実験法について述べた。
基準コンセプトを設定し、その中の単語を一語のみ変更した七つのゲームコンセプトをAIへ入力することで、ゲームデザインの変化を比較・分析する実験を設計した。
各実験では、ゲームジャンル、世界観、ゲームループ、プレイヤー行動、報酬システムなどを比較対象とし、AIがゲームコンセプトをどのように解釈しているかを観察する。
次章以降では、この研究方法に基づき、実験Aから実験Gまでの結果を順に示す。
