AIゲーム開発研究室
研究実験 No.003 第7章 実験E(プレイヤー行動の変化)p08
AIゲーム開発研究室
研究実験 No.003
第7章 実験E(プレイヤー行動の変化)
7.1 実験概要
本実験では、基準コンセプトに含まれる「いただいた」を「集める」に変更した。
変更後のゲームコンセプトは以下のとおりである。
「おむすび山とは、森で集めた恵みを森へ返し、森とともに豊かになるゲームである。」
変更した語は一語のみであり、それ以外の文章は実験Aと同一である。
本実験では、この変更によってAIがプレイヤーの行動やゲームループをどのように再構成するかを観察した。
7.2 AIが解釈した設計情報
| 設計要素 | 実験A(基準) | 実験E |
|---|---|---|
| 世界 | 森・自然・生命共同体 | 森・自然・生命共同体 |
| 行動 | 恵みをいただく | 恵みを集める |
| 価値観 | 循環・共生 | 循環・共生 |
| 目的 | 森を豊かにする | 森を豊かにする |
比較すると、「世界」「価値観」「目的」は維持されている一方で、「行動」のみが変化している。
AIは、「いただく」と「集める」の違いを、プレイヤーの主体性やゲームプレイの中心となる行動の違いとして解釈している。
7.3 生成されたゲームデザイン
(1)ゲームジャンル
探索・収集型ライフシミュレーションゲーム
プレイヤーは森を探索し、さまざまな恵みを発見・収集しながら、森全体の発展に貢献していく。
実験Aよりも、探索や収集そのものがゲームプレイの中心となる。
(2)世界観
舞台は「おむすび山」の森である。
森には多様な植物や動物、季節ごとの資源が存在し、探索によって新たな発見が得られる世界として描かれる。
(3)プレイヤーの目的
森に存在するさまざまな恵みを集め、それらを森へ還元することで、森全体を豊かに育てることを目的とする。
(4)基本ゲームループ
森を探索する。
↓
恵みを見つける。
↓
恵みを集める。
↓
森へ返す。
↓
森が成長する。
探索と収集がゲーム進行の中心的な役割を担う。
(5)プレイヤーの主な行動
- 森を探索する
- 落ちているどんぐりを拾う
- 珍しい植物を見つける
- 季節限定の恵みを収集する
- 図鑑を完成させる
- 集めた恵みを森へ返す
実験Aでは「自然から受け取る」という受動的な行動が中心であったのに対し、本実験では「探し、集める」という能動的な行動が中心となっている。
(6)報酬・成長システム
新しい恵みを発見することで図鑑が充実し、探索可能なエリアや新たな生き物が解放される。
収集の成果は森の成長にも反映され、探索と循環が相互に作用する構造となる。
(7)エンディング
森のあらゆる恵みが記録され、それぞれが森へ還元されることで、多様な生命が共生する豊かな森が完成する。
プレイヤーは「森を知り尽くした探究者」であると同時に、「森を育てる一員」として描かれる。
7.4 分析
実験Aでは、「いただく」という語から、AIは自然から恵みを受け取るという受容的な関係を読み取っていた。
一方、本実験では、「集める」という語への変更によって、プレイヤー自身が積極的に探索し、恵みを発見・収集することがゲームプレイの中心となった。
しかし、「森へ返す」という行動や、「森とともに豊かになる」という目的は維持されているため、ゲーム全体の価値観や循環構造には大きな変化は見られなかった。
このことから、AIは「集める」という語を、ゲームの価値観ではなく、プレイヤーの中心的な行動を規定する設計情報として解釈していると考えられる。
7.5 考察
本実験は、ゲームコンセプトに含まれる行動を表す語が、プレイヤー体験そのものを方向付ける重要な設計情報となる可能性を示した。
「いただく」は、自然から恵みを受け取るという受容的な関係性を示している。
これに対し、「集める」は、プレイヤーが自ら探索し、発見するという能動的な行動を示している。
AIは、この違いをゲームループや探索要素、報酬設計へ一貫して反映していた。
この結果は、ゲームコンセプトにおける行動を表す語が、「プレイヤーはゲームの中で何をするのか」という体験の核を決定する重要な設計情報であることを示唆している。
第7章 まとめ
本章では、「いただいた」を「集める」に変更した比較実験を示した。
その結果、ゲーム全体の価値観や目的は維持された一方で、プレイヤーの中心的な行動は「受け取る」から「探索して集める」へと変化した。
AIは、この一語の変更を、ゲームループやプレイヤー体験の再構成につながる設計情報として解釈していた。
本実験は、ゲームコンセプトに含まれる行動を表す語が、プレイヤー体験の中核を方向付ける重要な役割を担う可能性を示している。
