AIゲーム開発研究室

2026-07-17 15:12:00

研究実験 No.003 第9章 実験G(探究目的への変化)p10

AIゲーム開発研究室

研究実験 No.003

第9章 実験G(探究目的への変化)


9.1 実験概要

本実験では、基準コンセプトに含まれる「森とともに豊かになる」を「森の秘密を知る」に変更した。

変更後のゲームコンセプトは以下のとおりである。

「おむすび山とは、森からいただいた恵みを森へ返し、森の秘密を知るゲームである。」

変更した部分はゲームコンセプトの目的を表す文である。

本実験では、この変更によってAIがゲーム全体の目的やゲームデザインをどのように再構成するかを観察した。


9.2 AIが解釈した設計情報

設計要素 実験A(基準) 実験G
世界 森・自然・生命共同体 森・自然・生命共同体
行動 恵みを返す 恵みを返す
価値観 循環・共生 探究・理解
目的 森を豊かにする 森の秘密を知る

比較すると、「世界」と「行動」は維持されている一方で、「価値観」と「目的」が変化している。

AIは「知る」という語を、知識の獲得や理解を中心としたゲーム体験へつながる設計情報として解釈している。


9.3 生成されたゲームデザイン

(1)ゲームジャンル

探索・アドベンチャーゲーム

プレイヤーは森を探索し、そこに隠された歴史や自然の仕組み、生き物たちの暮らしを知ることでゲームを進めていく。

ゲームの中心は「育てること」ではなく、「発見し、理解すること」である。


(2)世界観

舞台は「おむすび山」の森である。

森には古い言い伝えや不思議な場所、知られていない生態系など、多くの謎が存在する。

プレイヤーは森の仲間たちとの交流や探索を通して、その秘密を少しずつ明らかにしていく。


(3)プレイヤーの目的

森の秘密を知り、その知識を通じて森への理解を深めること。

プレイヤーの成長は、経験値や資源ではなく、「理解の深化」として表現される。


(4)基本ゲームループ

森を探索する。

手がかりを見つける。

謎を解く。

森の秘密を知る。

新たな探索エリアが開かれる。

ゲームの進行は、知識や発見の積み重ねによって展開する。


(5)プレイヤーの主な行動

  • 森を探索する
  • 不思議な場所を調べる
  • 森の仲間から話を聞く
  • 古い伝承を集める
  • 図鑑や資料を完成させる
  • 発見した知識を森へ還元する

プレイヤーは「収集者」や「管理者」ではなく、「探究者」として位置付けられる。


(6)報酬・成長システム

新しい知識や発見を得ることで、未知の場所や物語が解放される。

ゲームの成長は、世界をより深く理解していく過程として表現される。


(7)エンディング

森に秘められていた歴史や自然の営みが明らかになり、プレイヤーは森を深く理解した存在として物語を終える。

森の秘密を知ることは、森を支配することではなく、森とより深くつながることとして描かれる。


9.4 分析

実験Aでは、「豊かになる」という語から、AIは森を育てることをゲームの最終目標として設計していた。

一方、本実験では、「知る」という語への変更によって、ゲーム全体が探索や学習、発見を中心とした構造へ再構成された。

ゲームの舞台や基本行動は維持されているが、ゲームループ、報酬システム、プレイヤーの役割、エンディングは、知識の獲得を中心とする構造へ変化している。

このことから、AIは「知る」という目的を、ゲームの進行そのものを規定する設計情報として解釈していると考えられる。


9.5 考察

本実験は、ゲームコンセプトに含まれる目的を表す語が、ゲーム全体の設計思想だけでなく、プレイヤー体験の質そのものを方向付ける可能性を示した。

「豊かになる」は、発展や成長を目指すゲーム体験を生み出す。

「守る」は、維持や保全を目指すゲーム体験を生み出す。

そして、「知る」は、探索や理解を目指すゲーム体験を生み出す。

AIは、これらを単なる言い換えとは解釈せず、それぞれ異なるゲームジャンルやゲームループとして再構成していた。

本実験は、ゲームコンセプトに含まれる目的を示す語が、ゲームジャンルやプレイヤー体験を方向付ける重要な設計情報であることを示唆している。


第9章 まとめ

本章では、「森とともに豊かになる」を「森の秘密を知る」に変更した比較実験を示した。

その結果、ゲームの舞台や基本行動は維持された一方で、ゲームの中心は「成長」から「探究」へと変化した。

AIは、「知る」という語を、探索・発見・理解を中心とするゲーム体験へ結び付け、ゲームループや報酬システム、プレイヤーの役割を一貫して再構成していた。

 

本実験は、ゲームコンセプトの目的を示す語が、ゲームジャンルやプレイヤー体験の方向性を決定する重要な設計情報である可能性を示している。