AIゲーム開発研究室

2026-08-05 11:28:00

第22回 歩行アニメーション制作実験

第22回 歩行アニメーション制作実験

現時点における画像生成AIの限界


はじめに

第21回では、パンタの立ち姿4面図を制作し、ゲーム素材として使用できるキャラクター素材を完成させた。

そこで今回は、そのキャラクターを用いて、2Dゲームに必要となる歩行アニメーションの制作を試みた。

しかし、複数回にわたる実験の結果、現時点の画像生成AIでは、ゲーム素材として使用できる歩行アニメーションを生成することはできなかった。

本稿では、その実験内容と結果を整理し、現時点で判明した画像生成AIの特性について報告する。


実験内容

歩行アニメーション制作にあたり、さまざまな方法を試みた。

実験1 歩行サイクルの直接生成

歩行ポーズをコマごとに指定し、

  • 5コマ
  • 6コマ
  • 8コマ

など複数の歩行サイクルを生成した。

結果

歩行らしい個々のイラストは生成されるものの、

ゲームで使用できる連続した歩行サイクルにはならなかった。

確認された主な問題点は、

  • 足の運びが一定しない
  • 左右の足の位置関係が崩れる
  • コマ間の連続性がない
  • 周期運動として成立しない

などであった。


実験2 歩行基準画像によるポーズ指定

人間の歩行基準画像を添付し、

「このポーズでパンタを描く」

という方法を試した。

結果

歩いている雰囲気のイラストは生成されたが、

基準画像のポーズは忠実に再現されなかった。

具体的には、

  • 足の角度
  • 腕の振り
  • 重心位置
  • 体の向き

などが一致せず、

指定ポーズの模倣には至らなかった。


実験3 自然な歩行の自動生成

ポーズを細かく指定せず、

AI自身に自然な歩行モーションを生成させる方法も試した。

結果

こちらもゲーム素材として使用できる歩行サイクルにはならなかった。

歩行らしい個々のイラストは描けるものの、

ゲーム用アニメーションとして必要な規則性は得られなかった。


実験から分かったこと

今回の実験から、現時点の画像生成AIには次のような特徴が確認された。

できたこと

  • パンタのデザインを高い精度で再現できる。
  • 画風や色彩を統一できる。
  • 透明背景の素材を生成できる。
  • 一枚絵として自然なイラストを制作できる。

できなかったこと

ゲーム素材として重要な次の項目は実現できなかった。

  • 指定した歩行ポーズを忠実に再現すること
  • 規則的な歩行サイクルを生成すること
  • コマ間の連続性を維持すること
  • 周期運動として成立する歩行アニメーションを生成すること

考察

今回の実験では、

画像生成AIは「歩いているキャラクター」を描くことはできるが、

「ゲームで使用する歩行アニメーション」を制作することはできなかった。

これは、一枚のイラストとしての完成度と、

ゲームアニメーションとして必要な時間的・構造的な整合性とは、

異なる能力であることを示している。


今後の方針

本研究では、この結果をそのまま受け入れ、

歩行モーションなどループを前提としたゲーム設計は採用しないこととした。

代わりに、

ジャンプや攻撃など、一回完結するモーションを組み合わせ、

ゲーム全体を構成する方法を採用する。

ゲーム制作では、できないことを無理に実現しようとするのではなく、

現時点のAIで実現できる表現方法を前提に設計を行う。

これを、本研究における今後の制作方針とする。