AIゲーム開発研究室
第22回 歩行アニメーション制作実験
第22回 歩行アニメーション制作実験
現時点における画像生成AIの限界
はじめに
第21回では、パンタの立ち姿4面図を制作し、ゲーム素材として使用できるキャラクター素材を完成させた。
そこで今回は、そのキャラクターを用いて、2Dゲームに必要となる歩行アニメーションの制作を試みた。
しかし、複数回にわたる実験の結果、現時点の画像生成AIでは、ゲーム素材として使用できる歩行アニメーションを生成することはできなかった。
本稿では、その実験内容と結果を整理し、現時点で判明した画像生成AIの特性について報告する。
実験内容
歩行アニメーション制作にあたり、さまざまな方法を試みた。
実験1 歩行サイクルの直接生成
歩行ポーズをコマごとに指定し、
- 5コマ
- 6コマ
- 8コマ
など複数の歩行サイクルを生成した。
結果
歩行らしい個々のイラストは生成されるものの、
ゲームで使用できる連続した歩行サイクルにはならなかった。
確認された主な問題点は、
- 足の運びが一定しない
- 左右の足の位置関係が崩れる
- コマ間の連続性がない
- 周期運動として成立しない
などであった。
実験2 歩行基準画像によるポーズ指定
人間の歩行基準画像を添付し、
「このポーズでパンタを描く」
という方法を試した。
結果
歩いている雰囲気のイラストは生成されたが、
基準画像のポーズは忠実に再現されなかった。
具体的には、
- 足の角度
- 腕の振り
- 重心位置
- 体の向き
などが一致せず、
指定ポーズの模倣には至らなかった。
実験3 自然な歩行の自動生成
ポーズを細かく指定せず、
AI自身に自然な歩行モーションを生成させる方法も試した。
結果
こちらもゲーム素材として使用できる歩行サイクルにはならなかった。
歩行らしい個々のイラストは描けるものの、
ゲーム用アニメーションとして必要な規則性は得られなかった。
実験から分かったこと
今回の実験から、現時点の画像生成AIには次のような特徴が確認された。
できたこと
- パンタのデザインを高い精度で再現できる。
- 画風や色彩を統一できる。
- 透明背景の素材を生成できる。
- 一枚絵として自然なイラストを制作できる。
できなかったこと
ゲーム素材として重要な次の項目は実現できなかった。
- 指定した歩行ポーズを忠実に再現すること
- 規則的な歩行サイクルを生成すること
- コマ間の連続性を維持すること
- 周期運動として成立する歩行アニメーションを生成すること
考察
今回の実験では、
画像生成AIは「歩いているキャラクター」を描くことはできるが、
「ゲームで使用する歩行アニメーション」を制作することはできなかった。
これは、一枚のイラストとしての完成度と、
ゲームアニメーションとして必要な時間的・構造的な整合性とは、
異なる能力であることを示している。
今後の方針
本研究では、この結果をそのまま受け入れ、
歩行モーションなどループを前提としたゲーム設計は採用しないこととした。
代わりに、
ジャンプや攻撃など、一回完結するモーションを組み合わせ、
ゲーム全体を構成する方法を採用する。
ゲーム制作では、できないことを無理に実現しようとするのではなく、
現時点のAIで実現できる表現方法を前提に設計を行う。
これを、本研究における今後の制作方針とする。
