AIゲーム開発研究室

2026-08-10 12:31:00

第24回 画像生成AIからゲーム用アクション素材を制作する

AIゲーム開発ドキュメント

第24回

画像生成AIからゲーム用アクション素材を制作する


はじめに

前回は、パンタの移動アクションについて、人間と対話AIによる設計会議を行った。

これまでの実験では、画像生成AIを用いて歩行アニメーションを制作しようとしたが、左右の足の運びや歩行周期を正確に維持した連続画像を生成することはできなかった。

そこで発想を変えた。

歩行を生成するのではなく、移動しているように見えるアクションを設計する。

その結果、パンタが「ちょん、ちょん」と小さく跳ねながら移動する方式を採用した。

今回は、前回決定した仕様をもとに実際の画像生成AIへのプロンプトを作成し、画像を生成する。

さらに、生成された画像を人間が加工し、ゲームで使用するシーケンスファイルへと仕上げる。

ここからは、設計ではない。

実際のゲーム素材制作である。


画像生成AIへ渡す資料

今回、画像生成AIには二つの基準資料を与えた。

一つ目は、パンタの公式キャラクター基準画像である。

顔、耳、目の周囲の黒い模様、丸い体形、毛並み、緑色のスカーフ、青色のリュックなど、パンタのデザインを維持するための資料である。

二つ目は、今回制作するアクションの仕様である。

ここで重要なのは、画像生成AIに「歩行アニメーションを作ってください」と指示しなかったことである。

今回求めたのは、

右方向へ、小さく跳ねながら移動しているパンタの異なるポーズ

である。

歩行周期を再現させるのではなく、ゲーム上で移動しているように見える複数の瞬間を生成させる。

これは、これまでの実験結果を踏まえて設計した新しい制作方法である。


画像生成AIへのプロンプト

以下が、今回実際に画像生成AIへ与えたプロンプトである。


使用する基準画像

添付した画像を、パンタの公式キャラクター基準画像として使用してください。

パンタの以下のデザインを忠実に維持してください。



目の周囲の黒い模様
丸く大きな体形
毛並み
緑色のスカーフ
青色のリュック
色彩
画風

別のデザインのパンダに変更しないでください。

制作内容

2Dゲームに使用するパンタの移動素材を制作してください。

これは歩行アニメーションではありません。

パンタが画面の右方向へ、

「ちょん、ちょん」と小さく跳ねながら移動している様子を表現するための、異なるポーズ集

を制作してください。

完成した画像は、時間の流れが分かるように左上から右下へ配置してください。

同じポーズを繰り返さず、それぞれ異なる瞬間を描いてください。

パンタの向き

パンタはすべてのカットで、カメラに対して正面を向いています。

顔と胸は常に正面です。

横向き、斜め向き、後ろ向きにはしないでください。

右方向へ移動していることを表現するため、パンタの体全体を、鑑賞者から見て左方向へ少しだけ傾けてください。

この傾きは各カットで少し変化しても構いません。

パンタは頭の上に、どんぐりを受け止める籠を載せています。

両腕を上げ、左右の手で籠の側面を支えています。

すべてのカットで、籠は頭の上に置き、両手で支え、水平を維持してください。

籠の中には、どんぐりを2~3個だけ入れてください。

表情

すべて笑顔。

ただし、

口を開けたカット
口を閉じたカット

を混在させてください。

ゲーム中にパクパクした表情として使用します。

ポーズ

各カットは、小ジャンプの異なる瞬間を描いてください。

着地直後、少し浮き始めた瞬間、一番高く跳ねた瞬間、着地直前など、時間が連続していることが分かるポーズにしてください。

歩行ではありません。

走行でもありません。

行進でもありません。

足を前後へ交互に大きく出さないでください。

両足は体の真下付近で、小さく曲げたり伸ばしたりする程度にしてください。

重心

各カットでパンタの重心の高さを変えてください。

着地では少し低くなる。

跳び上がる途中では少し高くなる。

空中では最も高くなる。

着地前では再び下がり始める。

上下方向の変化によって、連続した小ジャンプであることが分かるようにしてください。

背景

背景は完全透明。

文字、数字、枠線、地面、足元の影、光の演出、効果線、その他のキャラクター、不要な物体は描かないでください。

ゲーム素材として切り分けられる、パンタだけの移動ポーズ集を制作してください。


画像生成AIによる生成結果

画像生成AIによって、複数のパンタが一枚の画像として生成された。

パンタキャッチ01.png

ここで重要なのは、これを完成したゲーム素材とは考えないことである。

生成画像には、ゲーム素材としてそのまま使用するには修正すべき部分が残っている。

一方で、パンタのキャラクターデザイン、頭上の籠、両手で籠を支える姿勢、小ジャンプによる動きなど、素材制作の元画像として使用できる品質のポーズも得られた。

歩行アニメーションの実験とは明らかに結果が異なった。

歩行では、連続する足運びの規則性を画像生成AIに要求した。

今回は、その規則性そのものを要求していない。

異なる瞬間のポーズを生成させ、その中からゲームに使用できる画像を人間が選択する。

ここに今回の方法の大きな違いがある。


人間によるゲーム素材への加工

生成された画像から、ゲームに使用するポーズを選択した。

そして、それぞれを独立した画像として切り分ける。

さらに、

背景・不要部分の除去、
影の除去、
画像の切り出し、
キャラクターサイズの調整、
位置の調整、
必要に応じた角度の補正、
色調補正、
基準位置の統一、

などの加工を行う。

ここで重要なのは、画像生成AIが制作したものをそのままゲームへ投入しているわけではないことである。

画像生成AIが素材となる原画を制作し、人間がゲームで使用できる素材へ仕上げている。

この工程は、単なる後処理ではない。

現時点のAIゲーム素材制作における、重要な制作工程の一つである。


シーケンスファイルとして完成させる

パンタキャッチRight01.pngパンタキャッチRight02.pngパンタキャッチRight03.png

今回のゲームでは、スプライトシートではなく、独立したPNG画像によるシーケンスファイル方式を採用している。

そのため、加工した各ポーズを個別の画像として保存する。

この方式では、画像全体のサイズをすべてのアクションで固定する必要はない。

重要なのは、

パンタの基準縮尺を統一すること。

そして、

ゲーム上で使用する基準位置を統一すること。

である。

今回の検討では、パンタの基準身長を250pxとし、他のキャラクターについてはパンタとの身長比率を基準として制作することにした。

また、素材制作時の基準位置は画像底辺中央とする。

Unityへ読み込んだ際にも、これに対応するBottom Centerを基準として設定する。

一方、画像領域そのものは固定しない。

左右移動、上下ジャンプ、その他の大きなアクションでは、必要となる画像領域が異なるためである。

したがって、

キャラクターの縮尺は統一する。
基準位置は統一する。
画像サイズはアクションに必要な範囲に応じて決定する。

これを、今後のゲーム素材制作における基本規格とする。


今回の実験から分かったこと

今回の結果は、「画像生成AIがアニメーションを作れるようになった」という意味ではない。

むしろ逆である。

画像生成AIに、歩行周期のような厳密な連続動作をそのまま生成させることは難しい。

そこで、

AIが苦手なものを無理に作らせるのではなく、AIが作れるものからゲームに必要な動きを構成する。

という方法へ設計そのものを変更した。

画像生成AIは異なるポーズを生成する。

人間はその中から使用可能な画像を選択する。

人間が画像を加工する。

シーケンスファイルとして構成する。

そしてUnity上で連続したアクションとして再生する。

この分業によって、現時点の画像生成AIでもゲーム用アクション素材を制作できる可能性が見えてきた。


まだ結論ではない

ただし、現段階ではまだ「アクション素材制作手法が完成した」とはしない。

今回完成したのは、横方向へ小さく跳ねながら移動するための素材である。

ゲームでは、どんぐりの落下位置へ到達した後、プレイヤーが左右の入力を止める。

そのときパンタには、左右へ移動せず、その場でどんぐりを待つアクションが必要になる。

そこで次に、

その場で上下に小さくジャンプする待機キャッチアクション

を制作する。

横移動キャッチアクションと、待機キャッチアクション。

この二つが完成し、実際にUnity上で連動させることができれば、パンタの基本的なキャッチ移動素材が成立する。

その時点で初めて、

AIによるゲーム用アクション素材制作に、一つの実用的な方法が見つかった

と判断したい。