AIゲーム開発研究室

2026-09-13 01:40:00

第3回 キャラクター公式4面図から3Dモデルを制作する

AIゲーム開発研究室

3Dモデル制作ドキュメント

第3回 キャラクター公式4面図から3Dモデルを制作する

研究代表 大川 博
主任研究員 Arc(ChatGPT)


はじめに

前回は、1枚のキャラクター画像からTripoを使って3Dモデルを生成し、生成後のモデルに対する各種処理を確認した。

そして、今後も本格的に3Dモデル制作を進めるため、最後にTripoを有料プランへ切り替えた。

今回は、その続きである。

これまで「おむすび山のなかまたち」のキャラクター制作では、ゲーム、絵本、イラストなどで共通して使用するためのキャラクター公式4面図を制作してきた。

そこで今回は、新たに3D専用の画像を作るのではなく、まず、このすでに完成しているパンタの公式4面図をそのままTripoへ入力して、3Dモデルを制作してみることにした。

ここから、実際のゲームで使用するパンタの3Dモデル制作を進めていく。


1 パンタのキャラクター公式4面図を使用する

今回使用したのは、パンタの

正面
右側面
背面
左側面

の4枚である。

これらは、もともと3Dモデル制作専用に制作した画像ではない。

パンタというキャラクターのデザインを確定し、さまざまな制作で共通して使用するために作った公式デザイン資料である。

そのため、3Dモデリングで使用される一般的な設計図のように、正面、側面、背面の形状が厳密に一致しているわけではない。

側面図を比較しても、身体の厚み、脚の位置、脚の角度などには多少の違いがある。

しかし前回、Tripoが1枚の正面画像だけから、画像には描かれていない側面や背面まで推測して3Dモデルを生成したことを確認している。

それならば、完全には一致していなくても、4方向の情報があれば、AIがそれぞれの画像を解釈して一つの立体としてまとめることができるのではないか。

今回は、そのまま制作を進めることにした。

【画像配置①】
パンタ キャラクター公式4面図
正面・右側面・背面・左側面


2 4面図をTripoへ入力する

パンタの公式4面図をTripoへ入力し、マルチビューによる3Dモデル生成を行った。

ここで重要なのは、今回使用している4枚が、3D生成のために新しく描き直したものではないということである。

すでにキャラクター制作の工程で完成していた公式資料を、そのまま3Dモデル制作へ受け渡している。

つまり、

2Dキャラクターデザインで制作した公式資料を、そのままAIによる3D制作へ利用する

という工程になる。

AIを中心としたゲーム開発では、一つの工程のためだけに素材を作るのではなく、すでに制作した情報を次のAIへ受け渡していくことができる。

今回の4面図は、その実例となった。

【画像配置②】
Tripoへパンタ公式4面図を入力した画面


3 公式4面図から3Dモデルが生成された

生成を実行すると、パンタの3Dモデルが完成した。

3Dモデル専用に厳密な4面図を作ったわけではない。

それでもTripoは、4枚の画像に含まれる情報を一つのキャラクターとして解釈し、立体としてまとめている。

正面だけでなく、頭部の厚み、胴体、手足、背中、リュックなども立体として構成された。

特に今回重要だったのは、

4枚の画像が製図のように完全一致していなくても、3Dモデルを生成できた

ということである。

もちろん、どの程度まで画像間の違いを許容できるのかは、今回だけで一般化することはできない。

しかし少なくともパンタについては、キャラクターデザイン用として制作した公式4面図から、実際に3Dモデルを制作することができた。

これは今後、ほかのキャラクターを3D化していくうえでも重要な結果である。

【画像配置③】
パンタ公式4面図から生成された3Dモデル


4 このモデルをゲームで使うにはどうするのか

3Dモデルそのものは生成できた。

しかし、ここで次の疑問が生まれた。

今回使用した公式4面図では、パンタは腕を曲げた通常の立ち姿をしている。

ゲームキャラクターとして使用するのであれば、今後、骨格を入れ、さまざまなアニメーションを行うことになる。

そこで、

現在の3Dモデルを、腕を開いたポーズへ変更できないのか。

という問題を検討することになった。

当初は、現在のモデルをそのまま利用してポーズだけを変更する方法が見つからず、

それならば、最初から腕を開いた画像を作り、その画像から3Dモデルを作り直した方がよいのではないか

と考えた。

そこで、新たな3Dモデル制作用画像の制作を始めることにした。


5 Aポーズのパンタを制作する

3Dモデル制作用の参照画像として、腕を真横に水平に伸ばすTポーズではなく、腕を斜め下へ開いたAポーズを採用することにした。

ここでAポーズを提案したのはArcである。

パンタは、人間型キャラクターではあるが、頭が大きく、胴体が丸く、手足が短いデフォルメされた動物キャラクターである。

そのため、腕を水平に伸ばした典型的なTポーズよりも、腕をやや下げて身体との間に空間を作るAポーズの方が、パンタ本来のプロポーションを保ちやすいと考えた。

そこで、既存の公式デザインを基準に、新たなAポーズ画像の制作を開始した。

【画像配置④】
パンタ Aポーズ正面図


6 腕を伸ばすと、腕が長くなった

ところが、ここで思わぬ問題が起きた。

元のパンタは腕を曲げている。

その腕を開いたポーズへ変更すると、生成されたパンタの腕が想定していたよりも長く見えたのである。

これは単純な画像生成AIの失敗として片づけることはできない。

ここで、2Dキャラクターそのものが持っている問題に気づいた。

平面イラストでは、「ウソ」を描くことができる。

これは悪い意味での「ウソ」ではない。

2Dイラストでは、そのポーズ、そのアングル、その画面で最も自然に見えるように、身体の形や長さを調整することができる。

腕を曲げているときには自然に見えていた長さが、そのまま腕を伸ばしたときにも正しいとは限らない。

一枚の平面イラストとして成立していた身体のバランスが、別のポーズに変更した瞬間に崩れることがある。

3Dモデル制作では、一つの身体をさまざまな方向から見て、さらにさまざまなポーズで動かすことになる。

そのため、2Dキャラクターを3D化するときには、単に元画像を忠実に立体化するだけではなく、

そのキャラクター本来のプロポーションとは何か

を改めて考える必要がある。

これは今回の制作で得られた重要な発見だった。


7 動いているパンタからプロポーションを確認する

そこで、新たな資料として使用したのが、すでに2Dゲーム素材として制作していた**「大喜びパンタ」**である。

この画像では、パンタが通常の立ち姿ではなく、身体を大きく動かしている。

ここで注意しておきたい。

大喜びパンタを参照したのは、生成された3Dモデルと比較するためではない。

あくまで、2D画像の中でパンタが大きく身体を動かしたときのプロポーションを確認するためである。

頭の大きさ。

丸い胴体。

腕の長さ。

脚の長さ。

手足の太さ。

これらを確認しながら、Aポーズになっても「パンタらしさ」が失われない身体バランスを検討した。

一枚の立ち絵だけをキャラクターの絶対的な設計図とするのではなく、すでに制作してきた複数のアクション画像も、3D化におけるプロポーション資料として利用できることが分かった。

【画像配置⑤】
大喜びパンタ
※Aポーズ制作時のプロポーション参照画像


8 Aポーズ4面図を制作する

プロポーションを確認しながら、

正面
背面
右側面
左側面

のAポーズ画像を制作した。

ここでも、すべてを完全に一致させることだけを目的にはしなかった。

正面図と背面図については、実際に画像を重ね合わせてシルエットを確認した。

多少の腕の角度の違いはあったものの、全体のシルエットはほぼ一致していた。

一方、左右側面の制作では、画像生成AIが腕の位置を正しく解釈できず、腕が3本になる、耳が増えて見えるなどの問題も発生した。

さらに修正を繰り返すにつれて、元の公式デザインにあった柔らかな水彩表現から離れ、輪郭線が強くなる傾向も見られた。

ここで、もう一つの判断が必要になった。

4面図の整合性を追求することと、キャラクターとして良い画像を作ることは、必ずしも同じではない。

Tripoは、先に使用した通常の公式4面図に多少の不一致があっても、一つの3Dモデルとしてまとめることができた。

そのため、製図のような完全一致を求めて画像そのものの品質を落とすよりも、一定の整合性を確保したうえで、パンタらしい良い画像を使用する方がよいのではないかと判断した。

最終的に、Aポーズの4方向画像を一組の資料として完成させた。

【画像配置⑥】
パンタ Aポーズ4面図
正面・右側面・背面・左側面


9 ここで、もう一度Tripoを調べる

Aポーズ4面図は完成した。

この画像から新しい3Dモデルを生成することもできる。

しかし、その前にもう一度確認することにした。

本当に、すでに完成している3DモデルをTripo側でTポーズ化することはできないのか。

改めてTripoの機能を調べたところ、Tripoにはゲームキャラクター制作を想定したTポーズ化の工程が用意されていることが分かった。

つまり、

公式4面図からすでに制作したパンタ3Dモデルを利用したまま、Tripo側でTポーズ化できる可能性がある。

ここで制作方針を変更することにした。

せっかく完成したAポーズ4面図は、そのまま制作資料として保存する。

しかし、すぐにAポーズ4面図から新しい3Dモデルを生成するのではなく、まずはすでに完成しているパンタ3Dモデルへ戻る。

そして、そのモデルを残した状態で、TripoによるTポーズ化を試すことにした。


10 今回分かったこと

今回の制作では、パンタの公式4面図から実際に3Dモデルを制作することができた。

そして、その先へ進もうとしたことで、2Dキャラクターを3Dゲームキャラクターへ変換するときの新しい問題が見えてきた。

キャラクターデザイン用の4面図は、必ずしも3D用の厳密な設計図でなくても利用できる。

一方で、ポーズを変更すると、2Dイラストでは見えなかった身体比率の問題が表面化することがある。

そして、3D制作のために新しい画像を作り直す前に、使用する3D生成AIがどこまで後工程を行えるのかを確認することも重要である。

今回、Aポーズ4面図まで制作したあとで、Tripo側で既存モデルをTポーズ化できる可能性があることが分かった。

これは遠回りだったとも言える。

しかし、その過程があったからこそ、

「2Dで自然に見える身体」と「動かすことを前提とした身体」は、必ずしも同じではない

という問題を実制作の中で確認することができた。

AIを使った制作では、最初からすべての正解が分かっているわけではない。

作る。

結果を見る。

問題を見つける。

別の方法を試す。

そして、必要であれば前の工程へ戻る。

今回も、その繰り返しの中から次の制作方法が見えてきた。


次回

次回は、公式4面図からすでに制作したパンタ3Dモデルを残したまま、TripoでTポーズ化できるかを実際に確認する。

まず既存モデルを失わない方法を確認したうえで、Tポーズ化を行う。

さらに必要であれば、今回完成したAポーズ4面図から生成した3Dモデルとの比較も行いたい。

どちらの方法が、ゲームで実際に動かすパンタの3Dモデルとして適しているのか。

 

次の実制作で確認していく。