AIゲーム開発研究室
第4回 Aポーズ4面図から3Dモデルを生成する
AIゲーム開発研究室
3Dモデル制作ドキュメント
第4回 Aポーズ4面図から3Dモデルを生成する
研究代表 大川 博
主任研究員 Arc(ChatGPT)
はじめに
前回は、パンタのキャラクター公式4面図をTripoのMulti-viewへ入力し、3Dモデルを生成した。
その結果、1枚の画像から生成した場合に比べて、正面・側面・背面の情報を反映した3Dモデルを制作できることを確認した。
一方で、新たな問題も明らかになった。
従来の公式4面図では、パンタの両腕が胴体の前方に配置されている。
そのため生成された3Dモデルでも腕が胴体に近接し、リギングやアニメーションを行うゲームキャラクターとして考えた場合、この形状のまま進めてよいのかという疑問が生じた。
そこで今回は、Tripo側でTポーズ化できる可能性を調査するとともに、別の方法として、3Dモデルを生成する前の2D画像そのものをAポーズにすることを試みた。
そのために新たなAポーズ4面図を制作し、それをTripoへ入力して3Dモデルを生成した。
結果として、今後の3Dゲームキャラクター制作につながる重要な成果を得ることができた。
1 従来の公式4面図で生じた問題
これまで「おむすび山のなかまたち」では、ゲーム、絵本、イラストなどで共通して使用するため、パンタのキャラクター公式4面図を制作していた。
この4面図は、
正面
右側面
背面
左側面
からキャラクターデザインを確認するための公式資料である。
しかし、もともと3Dモデルのリギング専用資料として制作したものではない。
そのため、パンタの腕は自然な立ち姿として胴体の前方に配置されていた。
前回、この4面図をTripoのMulti-viewへ入力して3Dモデルを生成した。
3Dモデルそのものは良好に生成されたが、2D画像のポーズを反映して、腕が胴体に近接した状態になった。
ここで、
3Dモデルを生成した後でポーズを変更するのか。
それとも、
3Dモデルを生成する前に、リギングに適したポーズの2D資料を作るべきなのか。
という新しい問題が生まれた。
2 TripoでTポーズ化できるのか
まず、すでに生成した3DパンタをTripo側でTポーズ化できる可能性を調べることにした。
Tripo Studioのモデル生成画面を調べると、実際に**「Tポーズ」**という項目が存在した。
ところが、実際に操作してみると、このTポーズ項目は4方向の画像を入力するMulti-view画面には表示されなかった。
Multi-view側の設定項目を最下部まで確認したが、今回使用した画面ではTポーズを指定する項目を確認できなかった。
Tripoの公式情報についても調査した。
Tポーズは、キャラクターをリギングやアニメーションに適した標準ポーズへ変換するための機能として用意されている。
一方、Multi-viewでは複数方向の画像を入力して3Dモデルを生成する仕様となっており、今回確認したStudio上では、
4面図をMulti-viewへ入力しながら、同時にTポーズを指定する
という操作方法は確認できなかった。
ここで、別の方法を検討することにした。
3 既存3DモデルにAuto Rigを実行する
すでに完成している従来の3Dパンタについても実験を行った。
Tripoの「アニメイト」を開き、二足歩行キャラクター用として、
v1.0 ― Humanoid
を選択した。
その状態でAuto Rigを実行した。
すると、パンタの3Dモデルには実際にアーマチュアが生成された。
骨格表示をONにすると、胴体、腕、脚などに骨格が配置されていることも確認できた。
ここで重要なことが分かった。
Auto Rigを実行しても、パンタ自身のポーズがTポーズへ変化することはなかった。
腕を前方に置いた元の姿勢のまま、その形状に合わせて骨格が配置されたのである。
つまり今回の実験では、
Auto Rigを実行することと、3DモデルをTポーズ化することは別の処理である
ことが確認できた。
さらにプリセットアニメーション dance_02 の適用処理も試したが、今回の環境では正常なアニメーションを画面上で確認するところまでは至らなかった。
この結果だけから原因を断定することはできない。
しかし、今後リギングやアニメーションを行うゲームキャラクターとして考えるなら、腕と胴体が十分に分離したモデルを最初から制作する方が適していると考えた。
4 新しいAポーズ正面画像を制作する
そこで発想を変更した。
3Dモデルを生成した後で腕を動かすのではなく、
3Dモデル生成へ渡す2D画像の段階で、腕を胴体から離しておく。
そのため、新たにパンタのAポーズ正面画像を制作した。
従来のキャラクターデザインや体形は維持しながら、両腕を自然に左右へ広げ、胴体との間に明確な空間を設けた。
この画像を、新しい3Dモデル制作のキャラクター基準画像とした。
5 画像生成AIでAポーズ4面図を制作する
次に、このAポーズ正面画像から4面図を制作した。
ここでも一つの試行錯誤があった。
当初は、
「90度回転」
「正投影」
「形状を完全に一致させる」
など、3D設計図に近い指示を画像生成AIへ与える方法を試した。
しかし、指示を厳密にするほど、生成を繰り返す中で輪郭や体形が変化し、パンタ本来のデザインから離れていく傾向が見られた。
そこで指示方法を変更した。
厳密な3D設計図として描かせるのではなく、キャラクターデザインシートとして4方向を描かせることにした。
その際、新しいAポーズ正面画像をキャラクターデザインと体形の基準とし、従来の公式4面図については、4方向を一枚に配置するための構成資料として使用した。
また、「90度回転」「正投影」「機械的な完全一致」といった指示は使用しなかった。
その結果、
正面・右側面・背面・左側面を配置したAポーズ4面図を、最初の生成で採用可能な状態まで制作することができた。
今回、この画像生成が成功したこと自体も重要な実験結果となった。
画像生成AIに3D設計図のような厳密な回転を要求するのではなく、キャラクターデザイン資料として複数方向を描かせることで、キャラクター性を維持した4面図を得られる可能性が示された。
6 4方向画像をTripoへ入力する
完成したAポーズ4面図を、TripoのMulti-viewで使用するため、
正面
右側面
背面
左側面
の4枚の画像として準備した。
【画像⑦配置 Aポーズの正面・右側面・背面・左側面4枚】
画像説明:Tripo Multi-viewへ入力するために用意したパンタAポーズ4方向画像

これらをTripoの各方向へ配置した。
今回はまず3D形状そのものを十分に確認するため、高品質設定で生成することにした。
Ultra mesh qualityを有効にし、テクスチャ4K、PBRなどを使用して3Dモデルを生成した。
7 Aポーズ3Dパンタの生成に成功する
生成されたモデルを正面から確認した。
結果は非常に良好だった。
特に重要なのは両腕である。
従来モデルでは腕が胴体に近接していたのに対し、今回のモデルでは、
左右の腕が肩から手先まで独立した立体形状として生成され、胴体との間に明確な空間が形成された。
さらにモデルを回転させ、背面を確認した。
青いリュックについても立体的に生成され、前面ポケット、側面ポケット、肩ベルト、上部ハンドルなどが再現されている。
しっぽも独立した形状として生成された。
側面や斜め方向から確認すると、今回の目的がさらに明確に確認できた。
腕と胴体の間には空間があり、腕とリュックも大きく融合していない。
Aポーズ4面図で設計した腕の位置関係が、3Dモデルにも反映されたのである。
8 テクスチャには一部問題が残った
3D形状については良好な結果が得られたが、テクスチャには一部不自然な部分も確認された。
特に腹部と脚の境界付近などに、元画像にはない黒いにじみのような部分が発生している。
目などについても、元の2Dイラストより立体的な表現になっている。
ただし、今回の段階で最も重要なのは、ゲームキャラクターとして必要になる3D形状が成立するかどうかである。
その点では、頭部、胴体、脚、腕、リュックなどが立体として成立し、特に両腕が胴体から独立したことは大きな成果である。
したがって、今回はテクスチャ上の問題を理由としてモデルを作り直すことはしない。
9 残る大きな課題はポリゴン数
今回生成された3Dモデルは、
約196万フェイス
約102万頂点
という非常に高密度なモデルになった。
高品質な3Dモデルとして外観を確認するには十分であるが、そのままゲームへ使用するにはポリゴン数が多い。
逆に考えれば、今回生成したモデルについて、
外観を維持したままポリゴン数をゲーム用まで削減できれば、そのままゲームキャラクターとして使用できる可能性がある。
ここまで来ると、次の課題はかなり明確である。
新しいキャラクターを作り直すことではない。
現在のパンタを、ゲームで動かせるモデルへ最適化すること
である。
まとめ
今回の実験では、3Dモデル生成AIそのものだけではなく、3D生成AIへ渡す2D資料の作り方が重要であることが分かった。
従来の公式4面図は、ゲーム、絵本、イラストなどで共通するキャラクターデザイン資料として制作したものであり、その目的には十分機能している。
しかし、動かすことを前提とした3Dゲームキャラクターを制作する場合には、腕と胴体の位置関係など、3D化後のリギングを考慮した資料が必要になる。
そこで今回は、画像生成AIを使用して新たなAポーズ4面図を制作した。
さらに、その画像をTripo Multi-viewへ入力した結果、両腕が胴体から独立した3Dモデルを生成することができた。
今回の実験から、次の制作工程が見えてきた。
キャラクター基準画像
↓
画像生成AIによるAポーズ基準画像の制作
↓
画像生成AIによるAポーズ4面図の制作
↓
人間による生成結果の確認・採択
↓
4方向画像の準備
↓
Tripo Multi-viewによる3Dモデル生成
↓
3D形状の確認
↓
ポリゴン削減
↓
リギング・アニメーション
↓
ゲームエンジンへの実装
今回制作したAポーズ4面図は、単なるキャラクター設定資料ではない。
2Dキャラクターデザインと、動かすことを前提とした3Dゲームキャラクターとの間をつなぐ中間設計資料
として機能した。
そしてもう一つ重要なのは、画像生成AIと3D生成AIの関係である。
画像生成AIで完成画像を作り、3D生成AIで別のものを作るのではない。
次のAI工程が必要とする入力資料を、前のAI工程で制作する。
今回、
画像生成AI → Tripo
というAI間の受け渡しによって、2Dキャラクターからゲーム利用を想定できる3Dモデルまで進むことができた。
次回は、今回生成した高密度3Dモデルをゲームで使用できる状態へ近づけるため、ポリゴン数の削減とモデルの最適化を検証する。












