AIゲーム開発研究室
番外編・特別記録 AIとの対話で制作したゲームをインターネットに公開する
研究代表 大川 博
主任研究員 Arc(ChatGPT)
前回までの番外編では、ゲーム制作の経験がまったくない人間が、ChatGPTとの対話だけでゲームを制作できるのかを検証した。
ゲームの企画から始まり、実際に遊びながら問題を発見し、修正を繰り返した。
通常のモグラに加え、高得点のスペシャルモグラ、得点がゼロになる黒いモグラを登場させ、効果音や画面演出も追加した。
さらにキャラクター画像の問題を修正し、最終的に「もぐらたたきゲーム Ver.2.1」が完成した。
しかし、完成したゲームは、そのままでは制作したパソコンでしか遊べない。
そこで今回は、完成したゲームをインターネット上に公開し、ブログの読者も遊べるようにすることにした。
ゲームの公開作業についても、専門的な知識や経験を前提とせず、引き続きChatGPTとの対話によって進めた。
今回制作したゲームは、HTML形式のファイルである。
HTMLゲームはブラウザ上で動作するため、専用のゲーム機やアプリケーションを必要としない。
今回の目的は、このゲームをブログ「AIゲーム開発研究室」の読者にも遊んでもらうことである。
ChatGPTとの対話の結果、ゲーム公開サービス「itch.io」を利用することにした。
ゲーム本体をitch.ioに登録し、ブログからリンクする方式である。
公開するゲームは「もぐらたたきゲーム Ver.2.1」である。
このゲームは、プログラムや画像などがひとつのHTMLファイルに組み込まれている。
そのため、複数の素材ファイルを個別にアップロードする必要がなく、ひとつのファイルで公開できる。
itch.ioのゲーム編集画面を開き、タイトル、公開用URL、ファイルの種類、リリース状況などを設定した。
ゲームの種類には、ブラウザで動作するHTML形式を指定した。
続いて、完成したHTMLファイルをアップロードした。
アップロードは成功し、itch.io上にゲームが登録された。
【掲載画像①】HTMLファイルのアップロード成功画面
Ver.2.1のHTMLファイルが登録されたことを示すスクリーンショットを配置。
アップロードしたゲームを実際に表示すると、画面の大きさに問題が発生した。
ゲーム自体は動作するものの、ブラウザの表示領域に収まらず、下部が見えない状態になった。
そこで、itch.ioの埋め込みオプションにあるビューポート寸法を調整した。
途中では650×800ピクセルに設定し、ゲームが動作することを確認した。
ただし、設定したビューポート寸法と、ブラウザ内で実際に見えるゲーム画面の大きさは必ずしも一致しない。
今回の作業では、ゲームが正常に動作することと、画面が快適に表示されることは別の問題であると確認できた。
【掲載画像②】ゲーム画面の表示確認
ブラウザ上でゲームが動作しているスクリーンショットを配置。
ゲームの登録後、ジャンル、タグ、AI生成コンテンツの開示など、公開に必要な項目を設定した。
しかし、ChatGPTが案内した設定項目が、実際の管理画面では見つからない場合があった。
また、項目を選択すると、ほかの設定項目が表示されなくなる場面もあった。
人間は、その都度スクリーンショットをChatGPTに提示し、実際の画面を確認しながら作業を進めた。
AIが一般的な操作手順を説明できても、現在表示されている管理画面の構成を正確に把握しているとは限らないことが明らかになった。
今回のゲームは、ChatGPTとの対話によって制作された。
プログラムだけでなく、キャラクター画像や効果音などにも生成AIを利用している。
そこで、itch.ioの設定では、生成AIの成果が含まれていることを申告した。
本研究では、AIの利用を隠すのではなく、AIと人間がそれぞれどの工程を担当したのかを明らかにすることを重視している。
今回、特に手間取ったのが、保存時に発生した価格設定のエラーである。
ゲームは無料で公開する予定だった。
しかし、設定を保存しようとすると、公開状態、支払いモード、最低価格に関するエラーが表示された。
エラーメッセージには、期待される設定内容が示されていたが、管理画面上でどのように設定すればよいのかが分かりにくかった。
ChatGPTの案内だけでは一度に解決できず、人間が実際の画面を確認しながら試行錯誤する必要があった。
【掲載画像③】価格設定エラー
保存時に表示されたエラーメッセージのスクリーンショットを配置。
ゲームはアップロードされ、ブラウザ上で遊べるようになっていた。
しかし、一般の閲覧者がアクセスできるようにするには、公開範囲の設定が必要だった。
当初、ChatGPTが案内した「公開状況」という項目は見つからなかった。
その後、編集ページの最下部に「視認性とアクセス」という設定欄があることを発見した。
ここには、ドラフト、制限付き、公開の選択肢が用意されていた。
「公開」を選択し、設定を保存した。
【掲載画像④】視認性とアクセスの設定画面
ドラフト、制限付き、公開の選択肢が表示されたスクリーンショットを配置。
公開設定後、実際に第三者がゲームを遊べるかどうかを確認した。
確認には、Microsoft EdgeのInPrivateウィンドウを利用した。
通常のブラウザで使用しているログイン状態に依存せず、一般の閲覧者に近い条件でアクセスするためである。
結果として、公開したゲームにアクセスできることを確認した。
ゲームの公開先:https://ookawahiroshi.itch.io/mogura-tataki
itch.ioでゲームを公開できたため、次にブログ「AIゲーム開発研究室」からゲームを起動できるようにした。
今回のゲーム制作研究をまとめた番外編の記事の最後に、読者がゲームを体験できる案内を設置した。
案内には、次の内容を掲載した。
完成したゲームを遊んでみよう!
もぐらたたきゲーム Ver.2.1
AIとの対話から生まれたブラウザゲーム
そして、ゲームを起動するためのリンクボタンを配置した。
ブログの編集には、グーペのHTML編集機能を使用した。
当初、ゲームの案内ボタンは仮の表示になっており、実際のゲームへのリンクは設定されていなかった。
そこで、ChatGPTが修正するHTMLの範囲を説明し、人間が実際に編集した。
リンク先にitch.ioのゲームURLを設定し、ブログの記事を保存した。
最後に、ブログの公開ページを表示して確認した。
記事の末尾にはゲームの案内枠が表示され、オレンジ色のリンクボタンが配置されていた。
ボタンを押すと、itch.ioのゲームページへ移動できた。
さらに、実際にゲームを起動し、プレイできることを確認した。
【掲載画像⑤】グーペのブログに設置したゲーム案内
公開されたブログの記事末尾に、ゲームのリンクボタンが表示された最終確認画面を配置。
これにより、今回の公開作業は完了した。
今回の実験では、ゲーム制作の経験がない人間が、ChatGPTとの対話を通じて完成させたブラウザゲームを、インターネット上に公開することができた。
さらに、既存のブログからゲームへアクセスし、実際にプレイできる環境を構築した。
これは、AIとの対話によるゲーム開発が、プログラムを作成する段階だけでなく、公開という実用段階までつながることを示す結果である。
一方、公開作業は順調に進んだわけではない。
実際の管理画面とAIの説明が一致しない場面があり、設定項目を探し直したり、保存エラーへの対応を繰り返したりした。
AIの説明が正しいとは限らず、人間による確認が必要だった。
特に、外部サービスの管理画面では、AIが想定している画面構成と実際の表示が一致しない場合がある。
今回の実験は、この問題を具体的に示した。
問題解決において重要な役割を果たしたのが、スクリーンショットである。
人間が画面の状態を画像としてChatGPTに提示することで、文章だけでは伝えにくい設定項目やエラー内容を共有できた。
ただし、画像を共有すれば必ず正しい案内が得られるわけではない。
AIの回答を実際の画面と照合し、必要に応じて修正する作業が続いた。
今回の実験では、スクリーンショットによる情報共有と、人間による操作結果の検証を組み合わせることが、AIとの共同作業を進めるうえで有効だった。
今回の作業では、ChatGPTがゲーム公開の手順を提案し、設定方法を説明した。
一方、人間は実際に管理画面を操作し、ファイルをアップロードし、設定を変更し、ゲームの動作を確認した。
また、AIの案内が実際の画面と異なる場合には、人間がその問題を指摘した。
つまり、今回の公開作業は、AIがすべてを自動的に実行したものではない。
AIが案内し、人間が操作し、結果をAIに返す。
この対話を繰り返すことによって、最終的な目的を達成したのである。
今回の実験は、完成したゲームをインターネット上に公開するという、一見すると単純な作業から始まった。
しかし、実際には、ゲームファイルの登録、画面サイズの調整、公開設定、価格設定エラーへの対応、ブログとの連携など、多くの作業が必要だった。
途中では、AIの案内が不正確だったり、想定外の画面が表示されたりすることもあった。
それでも、スクリーンショットを共有し、問題を確認し、修正を繰り返すことで、最終的にゲームを公開することができた。
今回の研究から得られた結果は、次のとおりである。
ゲーム制作の経験がない人間でも、AIとの対話を通じて、ブラウザゲームの制作からインターネット公開まで到達することができた。
ただし、その過程では、人間による操作、判断、検証が必要だった。
AIは、必ずしも正確な答えを最初から提示するわけではない。
しかし、人間とAIが問題を共有し、対話を続けることで、最初にはできなかったことが実現する場合がある。
ゲームを作ることから始まった今回の番外編は、ゲームを公開し、誰でも遊べるようにするところまで到達した。
そして、そのすべての工程が、人間とAIとの対話の記録として残された。
これもまた、AI時代のゲーム開発方法論を考えるうえで、重要な実践結果である。
