2026-07-18 17:20:00
これまで見てきたように、私たちは経験を積み重ねながら内部表現を育てています。
では、一度できあがった内部表現は、一生変わらないのでしょうか。
答えは「いいえ」です。
私たちの内部表現は、新しい経験や学びによって少しずつ変化していきます。
例えば、子どもの頃には苦手だった食べ物が、大人になると好きになることがあります。
また、学生の頃には難しく感じていた本が、大人になって読み返すと、「こんなことが書いてあったのか」と驚くこともあります。
同じ食べ物です。
同じ本です。
変わったのは、それらではありません。
変わったのは、自分自身です。
経験を重ねることで内部表現が変化し、以前とは違う見方や理解ができるようになったのです。
人との関わりでも同じことが起こります。
初めて会ったときには苦手だと思っていた人が、何度も話をするうちに印象が変わることがあります。
逆に、最初は良い印象だった人でも、長く付き合う中で見方が変わることもあります。
新しい出来事や経験が加わることで、その人に対する内部表現が少しずつ変化していくからです。
このように考えると、「学ぶ」とは知識を増やすことだけではありません。
新しい経験を通して、これまで持っていた内部表現を少しずつ育て、変化させていくことでもあります。
つまり、人が成長するとは、世界そのものが変わることではなく、自分の内部表現が変化していくことなのです。
だからこそ、昨日まで理解できなかったことが、今日になると理解できることがあります。
以前は気にも留めなかったものに価値を感じるようになることもあります。
私たちは毎日の経験を通して、自分でも気付かないうちに、少しずつ世界の見え方を変えているのです。
では、このような内部表現の変化は、どのような仕組みで起こるのでしょうか。
次回は、「経験はどのように内部表現を変えていくのか」という視点から、さらに認知科学の世界を探っていきたいと思います。